50代がデジタル終活に「ちょうどいい」理由

目次

1. そもそも、デジタル終活って?

さっそくですが、結論からいきましょう。デジタル終活とは「スマホやパソコンの中身など、データもきちんと整理しておこう」という考え方です。
今やスマホは一人一台が当たり前。この記事だって、きっとスマホで読んでいる方が多いかと思います。では、そのスマホの中、ちゃんと片付いているでしょうか?
例えば、家族旅行の写真、LINEの友達やグループ、ネット銀行の残高、使わなくなったネットショップのアカウント、スマホの契約プランの詳細…。
おそらくですが「パスワードが思い出せない」とか「見たい写真が見つからない」なんてこと、一度や二度はあったのではないでしょうか。

そんな状態のまま、もし明日、自分が事故や病気で操作できなくなったら…。代わりに家族は操作できるでしょうか。あるいは、見られたくない情報はどうしますか。
このように、デジタル終活とは、有事の際でも、日常的にも、どんな時でも困らないようにデジタルデータを整理することです。


2. 50代がデジタル終活に「ちょうどいい」と感じる理由

50代って、人生の中でもなかなか特別な時期だと思います。
子育てが終わったと思ったら親の介護が始まったり、住宅ローンが一段落したら今度はリフォームを考えたり。まだまだ体も頭も元気で、仕事も続けられるうちに変化の多い「これから」に備えたい年代です。

ところが、老後資金は2,000万円必要と言われる昨今、令和5年の金融広報中央委員会の調査では50代・二人以上世帯の平均貯蓄は1,147万円とのことだそうです。「足りないかも…」と不安になり、いっきに考えることが嫌になります。
しかし実は、2000万円とは高額貯蓄層のデータも含まれており、実際には1,000万〜1,200万円程度でも十分という専門家の調査結果も出ています。いきなり必要資金が50%ほどになり、平均貯蓄で何とかなりそうな金額です。この結果を受けるとどうでしょうか。
人は不透明な未来に対しては保険をかけて多めに見積り、最大限の保険が取れないと不安を感じる生き物です。しかし、未来が明確になれば、それが過度な不安だったことに気付きます。つまり大切なことは、いまの自分にはどのくらいの備えが必要なのかしっかりと把握することです。

じゃあ「少しずつ準備してみようかな」と思ったとき、まず何をしますか?
多くの人は、まずは手元のスマホで預金を確認したり、家計簿アプリを開いたりするのではないでしょうか。だからこそ、手元から始められるデジタル終活は“最初の一歩”にぴったりなんです。


3. “デジタル”な部分を放置するとどうなる?リアルなトラブル事例

と、ここまできて「まあ、なんとかなるでしょ」と思ったあなた。わかります。
実際ほとんどのことはなんとかなりますし、準備も整理も面倒くさいですもんね。
しかし、その中に多少ながら、なんとかならないことが残ってしまうことも非常に多いです。実際に、身近なトラブルの実例をいくつかご紹介します。

  • 母が急に亡くなった。遺影で使いたい写真は母のスマホに入っていたけど、パスワードがわからない。このままでは葬儀のタイミングに間に合わないため、結局、専門業者にサポートを頼むことに。時間もお金も余計にかかってしまった。
  • 亡くなった妻の口座から、使っていないサブスクの動画サービスの料金が1年以上引き落とされ続けていた。妻がネット銀行の口座を持っていたことに気づかなかった。
  • 姉のSNSアカウントが死後に乗っ取られ、詐欺メッセージが友達に一斉送信された。故人であることを知らなかった古い友人が入金してしまった。

いかがでしょうか。多少出費があるだけで済めば良いのですが、大きなトラブルに発展する可能性も考えられそうではないでしょうか。スマホやパソコンは、家族でも共有しない“個人の領域”です。そのため、家族が知らなかった思わぬ情報が出てきてトラブルになることも多いのです。だからこそ、できることからでもデジタル終活を進めることが有効なんです。

4. 今日からできる!やさしいデジタル終活10選

とはいえ「情報整理」というと、面倒な作業をするような印象を持つかもしれません。そこで、まずは今日から15分だけでも始められるデジタル終活のオススメを10選ご用意しました。実際にそんなに難しいことではないと思いますので、無理なくできることから進めて見てください。


1. スマホ・PCのパスワードを書き留める
メモ用紙に、いまわかるスマホやパソコンのロック解除用パスワードとアドレスだけを書き、封筒に入れておきましょう。足りないものは、気付いたタイミングで書き足していけばOKです。場所はご自身の金庫でも、信頼できる家族に渡すでも構いません。
有事の際に家族の負担が減ることはもちろんですが、実は、普段から自分が何かを利用するときにも役立ちます。パスワードやIDが思い出せない!またリセットの繰り返し!なんて方は、このメモを見直すだけでそんなストレスから解消されるので、おすすめです。


2. よく使うサービスの名前だけリスト化
LINE、Gmail、ネット銀行、Amazon…こういった普段ご自身がよく使うものであれば、家族だとしてもパスワードまで書き記すのは不安かもしれません。そういう場合は、全部のパスワードまで書く必要はありませんよ。まずは「存在を知らせる」ことが大切です。有事の際はその事実が確認出来れば、親族でも手続きできるサービスも増えています。手帳の片隅にサービス名だけ書くだけでも効果的です。


3. サブスクプランの見直し
毎月口座から支払いのあるものをざっと書き出しましょう。
そうすると、スマホの余計なプランとか、解約が面倒で継続していた動画サービスとか「これ、全然使ってない…」が必ず見つかります。不要なものは解約すれば、その瞬間から節約にもなりますよ。


4. 写真を“残す用”と“削除用”に分ける
スマホの中の写真をざっと見返し、残したい写真だけカテゴリごとにフォルダを分けて保存しましょう。思い出話の際にたまにある「あの写真がみつからない」なんてことも減りますよ!
そして、人間だれしも秘密はあるもの。見られたくない写真や動画、メッセージも一つくらいは見付かります。こういったものは迷わず削除してしまいましょう。後悔を残さないのも終活です。


5. 大切なデータのバックアップ
意外と忘れがちなのがバックアップ、つまり、別枠でもう一つデータの保存先を用意しておくことです。スマホが壊れた時に、保存した写真が全てなくなってしまったり、連絡先が分からなくなってしまったり。なんて事態を防ぐことが出来ます。
また、古いスマホの写真は買い替え時に引き継がれていないと、あとで思い出を振り返りたい時、探すのに非常に大変な手間がかかったりします。ですので、年に1回程度の目安でも良いので、定期的なバックアップをおすすめします。
いまはネットワーク上に自動で保存してくれるサービスもありますが、月額使用料が気になるのであれば、SSDなどの外部機器に保存することもおすすめですよ。


6. 使わないアプリの消去・解約
スマホやPCの容量を占領している古いアプリは消去して、読んでいないメルマガがあれば解約しましょう。スマホの動作も軽くなりますし、今後チェックしなければいけない項目も減ることで手間も削減できます。注意事項としては、よくわからないアプリはむやみに消さないこと。システムを制御するために必要な場合もあります。自分がわかるものだけでも十分です。


7. まとめ場所を家族1人に伝える
「パスワードやリストはここにある」と、一言だけでいいので信頼できる家族に知らせておきます。全部を詳しく話す必要はありません。存在を知っているだけで、将来の混乱は大きく減らすことができます。


以上です。どれも、完璧である必要はありません。「今週、1つだけやってみる」くらいで大丈夫。少しずつ積み重ねれば、気がついたらあなたのデジタル終活はかなり進んでいるはずです。

5. 安心度がグッと上がる便利ツール&設定

紹介した工夫の他にこのような便利なサービスも存在します。さらに便利で安心を求める方は、試してみるのはいかがでしょうか。


Google・Appleのレガシー機能

突然の入院や予期せぬ事故の後、一定期間アカウントにログインがなかった場合、本人に代わって信頼できる相手に写真やファイルなど必要なデータを渡せるサービスです。Googleでは「非アクティブ アカウント管理ツール」、Appleでは「レガシー連絡先」と呼ばれています。もちろん自動で全部を引き渡すわけではなく、事前にどの情報を誰に託すかを決めておく必要がありますが、そのひと手間で「もしものとき、家族を困らせない」という安心感が生まれます

Google公式ページ
https://support.google.com/accounts/answer/3036546

Apple公式ページ
https://support.apple.com/ja-jp/HT212360


パスワード管理アプリ
ネットサービスのパスワード、そのサイトごとに記号の使用指定や文字数の指定があったり、定期的に変更を求められたり、条件が違って面倒な時があります。
そこで「1Password」がオススメです。各サイトごとに強力なパスワードを自動で発行し、まとめて管理してくれます。利用者側はマスターパスワードひとつだけを紙に残しておけば、このサービスを通してどのサイトにもアクセスが出来るようになります。

1Password公式ページ
https://1password.com/


これらのツールも自分の好みや暮らし方に合わせて組み込むことで、より便利で安心な生活に近づきます。弥侑feelでは、これらのツールの導入サポートや、より詳細なデジタル終活もサポートしております。まだ不安が残っている、もっと詳しく聞いてみたい、出来れば代行して欲しい、など、あなたのご希望に合わせてご相談をお受けしております。


6. まとめ — ちょうどいいくらいで進めるこれからの便利化。それがデジタル終活

50代のデジタル終活は、終わりの準備ではなく、生活を便利にして将来に備える第一歩です。これから先、安心を守る盾として。出来ることから始めてみませんか。今日から制作を始めてみませんか。


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